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s1135 彫刻刀


人体にとって、血液は酸素やビタミンを運び調節、無くてはならない重要な役割を果たす事はいうまでもないが、人生においては、その役目を好奇心が果たすのではないだろうか。
好奇心があるからこそ、知恵が湧きだし工夫もするし、トライも出来、幸せも湧き出る。
小学校時、貧しくてクレヨンが買えない、がしかしじっとしていなかった。
ふしん場を周り釘を見つけてくる。五寸釘は最高で、硬い木に打ちつけ、頭を火にくべ、トンカチで叩き、砥石で研ぐと色々な形の彫刻刀が出来る。
カエルやハト、面や仏像など彫りまくる。
デイゴの木は枯れると硬いが、生の状態は柔らかい。
石膏代わりに使えるのだ。メガネの木なるものがあるが、その木を切って自分の骨格に合わせ、自作の水中メガネ、ゴーグルを作る。
三角や四角いガラスを根気よくコソギ、丸くして取り付ける。
ヤラブの木の根に傷を付けると、蝋状の樹液が出る、それをガラスの隙間へつめる。
子供は骨格が毎年変わるので作り替えるのである。
ちなみに最初は竹で作ったが具合が悪いのでユナーの木で作った、水中メガネ発祥はこの島だと古老が言っていたが、定かでない。
最初は生芋で作ったそうだが、かろうじて一日しか使えなかったといっていた。
ひかるはかすかなチャンスを確実に生かしてきた、といえるのではないだろうか。
高校は叔父さん叔母さんのたらい回し世話でやっと出る。
当然就職するところを上京のチャンスを得る。
会社選び、周りは金に目がくらみ、条件のいい会社へいくが、ひかるはテレビ界を選ぶ。
しばらくは泣かず飛ばずの窓外族を決め込む。沖縄が本土復帰をし、パスポートを焼き捨てるとひかるは豹変したが、そこには訳があった。
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