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大統領閣下  [恋愛・結婚]

ひかるがVTR問題で仮眠の連続、死闘を繰り広げていた頃、家計は火の車であった。
食事は殆んど外食、疲れるので、たまにはビジネスホテルに泊まる事もある。
全てが会社の伝票で落とせる訳ではなく、小遣いが足りなくなると、女房が爪に火を灯して蓄えたお金を、むしり盗るように持って行く。
団地住まいで、奥様族は、週に1、2度しか帰って来ないひかるを見、
「あの男、顔に似合わず、やるわね!」
「間違いなく女がいるのよ!」と井戸端会議だ。
当然、女房の耳にもそれは届いてしまった。
そして、二人の子供を抱え、貯金は底をついていたのである。
疲れ果てて帰って来たひかるの顔を見ると、女房は爆発した。
「母子家庭なら覚悟のしようもある!」
「しかし、もうこの貧乏生活、我慢出来ない!!」とテーブルをひっくり返し、怒鳴り付けたのである。
角が出る、なんてものではない。
針千本、いや、角千本だ!
さんまもびっくり、前歯をとんがらし、今にも噛み付かんばかり、恐ろしい形相だ。
次から次、出てくる言葉は、ひかるの脳に、あらゆる角度からブス、ブスと突き刺さる。
「もう、あんたの顔を見るのも嫌だ!」
「もう、これ以上の貧乏は、嫌だ!」
「出て行け!」
「あんたなんぞ、地球の裏にあるという、貧乏王国へ行けばいい!」
「即、大統領、間違いなし!」と。
がなるだけがなって、まだ足りないのか、周りにあるものすべて叩き割り、子供を連れて実家へ帰って行ってしまった。
ひかるは、なすすべもなく、一人酒を飲むしかなかった。
翌日、どう対応すべきか、ひかるは早めに仕事を切り上げ帰ると、女房と子供達が舞い戻っていた。
どうしたのだ、と聞くと、結婚当時、猛反対した親は、手ぐすね待っていたかの如く、あの沖縄の島ザルは、最初からものにならない、躾けはなっていないし、どうしようもない男だと、ありとあらゆる悪口雑言を並べ、すぐにでも離婚すべし! と急きたてる。
人間として扱われない悪口雑言に、今度は、女房が切れた。
冗談じゃない! 曲がりなりにもコツコツ洗濯機、冷蔵庫を買い、子供達まで出来た。
何んの援助もしなかった親ではないか!
こんな所で、父親の悪口雑言を子供達に教え込まれたら、まともな子に育たない、と舞い戻って来たのである。
ひかるは、土下座をして謝った。
そして、ほんのちょっと、もう少しだけ時間をくれ。
今の放送業界、誰も気がつかない。自分がやるしかない。
などと、大言壮語、まくし立てたのである。
業界がどうのこうの・・・女房にとっては、へったくれもクソもない事だが、聞くだけ聞いてやった。
女房は、どうも貧乏神から逃がれられそうにもない、どうせなら、とことん貧乏を舐め尽くそう、と開き直ったのである。
お酒が飲みたい、と言うので、注いでやると、気持ちがほぐれたのか。
「今後は、あんたの事、貧乏王国大統領閣下と呼ばせてもらいますわ・・」
閣下様、私も、立派な大統領夫人になって見せるは! と笑顔を見せてくれたのである。
めでたし・・・めでたし・・・
勿論、ひかるは深く反省、その後、家庭を大事にしたのである。
それにしても、貧乏王国大統領、クーデターを起こすような人は、なさそうだ。
無期限任期は、辛いよう・・
野党の皆さん、お願いだ!
総理大臣を引き擦り下ろす前に、この大統領、引き擦り下ろしてくれ!!!!
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